「Mastodon for iPhone」、ファースト・インプレッション
昨日、App Storeにて、Mastodon初の公式アプリとなる「Mastodon for iPhone」が公開されました。
これは名前の通りiPhone向けのMastodonクライアントアプリであり、残念ながらAndroid向けには公式アプリは提供されない模様です。
自分はiPhoneユーザですので、自分の端末に入れて使ってみることにしました。
これ、開発がアナウンスされていた初期の段階から、Mastodon初心者向けと言われていましたが、確かに機能としては初心者向けっぽいです。ですが、本当の意味での初心者に勧められるかと言われると、首を縦には振れません。
自分が気づいた点を挙げると、ざっとこんな感じです。
- HTL(ホームタイムライン)専用。LTL(各インスタンスのローカルタイムライン)やFTL(連合タイムライン)に切り替えることは出来ない。
- 故に、私のようないわゆる「お一人様インスタンス」を使っている人や、そうでなくても登録しているインスタンスが一カ所しかなく、かつ他のインスタンスのアカウントも積極的にフォローしている人向け。
- 複数のアカウントを登録できない。
- 執筆時点でアラビア語と英語にしか対応していないため、日本語ユーザにとっては若干不便。
- 「Sign Up」から直接Mastodonインスタンスにユーザ登録できるらしいけど、検索せずに一覧に出てくるものがいわゆる有名どころしかないようだ。
- つまり、私が運営する「LIBERA TOKYO」のような弱小サーバに登録するためには、検索窓に当該サーバのドメインをフルに入力しなければならず、それらのサーバにとっては不利。
- また、先述の通りアラビア語と英語にしか対応していないため、このアプリでユーザ登録しようとすると、日本語圏からの登録であっても使用言語が英語になってしまう模様。
- 全般的に、既にiPhone向けに何らかのMastodonクライアントアプリを使っている人にとっては、こちらに乗り換えるメリットがない。
ネガティヴなことばかり書きましたが、これが公式アプリに対する自分の偽らざる印象です。
機能を絞っているのは、初心者を迷わせないという点ではよいことだとは思いますが、少なくとも日本語圏で言えば、本当にこのアプリが「初心者にとって使いやすい」かどうかは極めて疑わしいです。
執筆時点では、日本語圏のユーザを対象に考えるならば、次のいずれかに該当する人以外は使えないと考えて良さそうです。
この時点で「初心者向け」ではありません。
「Fedibird」はローカルタイムラインを廃したり、引用ブースト等の独自機能を実装したりしていて、素の状態のMastodonではなくなっていますので、Mastodonの入口として使うのは難しいと思いますし、日本におけるMastodonの草分け的存在である「mstdn.jp」も、あまり詳しくは書けませんけど初心者、特に避難所を探しているTwitterユーザにはお勧めできません。
お一人様インスタンスが初心者にとってハードルが高いものであることは言わずもがな。
他のインスタンスに登録していたり、これから登録したりしようとしているユーザにとっては、少なくともサインイン時に検索窓に所属インスタンスのドメインをフルで入力する必要がありますが、それが苦にならない人は、他の実績のあるクライアントアプリを探すべきです。
というわけで、今ひとつ他人に勧めにくいアプリという印象を拭えなくなってしまいました。
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