Mastodon日本語圏で真に「分散型」のSNSを実現させるためには?

昨日、Mastodonにおいて、自分のメイン・アカウント( @Telmina@one.telmina.com )のタイムラインを眺めていたところ、興味深い話が展開されていました。

 スレッドの先頭へのリンクを掲載します。スレッド全体は長めですが、Mastodon日本語圏の何らかのコミュニティに参加されている方は、一度目を通すべきだと思います。

 個人的にその中で特に興味深かった話は、Mastodon公式サイトというべき「joinmastodon.org」の問題と、日本語圏向けにそれに代わる入口サイトがあればよいのではというお話です。


日本語版「joinmastodon」が必要である点に異論なし

joinmastodon.org

 それぞれについて言及されている投稿へのリンクを掲載します。

 スレッド内で指摘されているように、「joinmastodon.org」は(日本語圏に限らず全世界の)Mastodonへの入口サイトとなっています。しかし、ここの掲載条件は非常に厳しく、中小~零細規模のサーバが掲載されるための道は実質的に閉ざされています。日本語圏のサーバは数えるほどしか登録されていません。

 そして、ほかのSNSから新天地に移住しようとしている人が例えば「Mastodon」でキーワード検索したときに、当然ながらほとんどの人は検索結果上位のサーバに登録すると思われます。いくらほかのSNSからの「移住」問題が起きても、中小~零細規模のサーバにとってはほとんど影響はありません。

 また、大規模のサーバに人が集まっても、それが必ずしも良いわけではありません。特に、どことは言いませんが特定の大規模サーバについては、流入も非常に多いものの、あえて詳細については触れませんがそこの雰囲気に幻滅するユーザも多く、そのせいでMastodon全体が悪印象を持たれてしまうという、非常に悪い影響を及ぼしています。

 残念ながら、「joinmastodon.org」と検索エンジン掲載順の問題から、Mastodonは脱中央集権を目指しながらも完全には脱中央集権を果たせていません。日本で政令指定都市などの都市部に人口が集中し、周辺地域の過疎に歯止めが掛かっていないのと似たような状況です。そして、これも上述のスレッド内で指摘されているところですが、多数のユーザを獲得している少数のサーバの管理者はMastodon日本語圏のあり方そのものにも大きな影響力を持つに至っています(もちろん私がその一員でないことは言うまでもない)。

 そのことを考えると、少数の大規模サーバの負担を減らし、ユーザや影響力の分散化を図るという点で、個人的にも、日本語版「joinmastodon」が必要である点については全く異論ありません。

日本語圏に絞ってみたときの「joinmastodon.org」の問題点

 先述の通り、「joinmastodon.org」のサーバ一覧に検索されるための条件は非常に厳しく、日本語圏のサーバは数えるほどしか掲載されていません。

 その条件は、「Mastodon Server Covenant」に掲載されている4点です。

 なお、原文(英語)を日本語に翻訳する際、「DeepL翻訳」を用いました。

 そのうち、1の遵守は当然として、中小~零細規模のサーバとなると、2番目以降を完全に出来ているところは数少ないのではないかと思われます。

 一応、私が運営している2カ所のサーバ(私専用の「Telmina One」と、政治的に自由主義(リベラル)の思想を持つ方向けの「LIBERA TOKYO」)については、1番目と2番目はどうにかなっていますが、3番目については実現できておらず、過去の経緯からしても、4番目を滞りなく実現できる可能性も低いです。

 特に3番目については、日本語圏でこれを遵守することが可能なサーバは限られるのではないかと思われます。

 この点につきまして、いわゆるお一人様サーバである「Telmina One」については当然ながら当てはまることはないのですが、「LIBERA TOKYO」についても、次に述べる理由により実現の目処が立っていません。

 インターネット全般に言えることだとは思いますが、特に日本語圏においては、「議論」を「相手を言い負かすこと」と認識している者が非常に多く、「自分にとって気に食わない者」を「実力を持って排除すること」が公然とまかり通っています。昨今のColabo問題のように妨害行為が公然とおこなわれており、実際に過去にこちらは何度も自サイトの運営を悪意ある者たちによって妨害され続けてきました。

 特に自由主義者(リベラル)はその被害に遭いやすく、味方の振りをして近づいてきて仲間同士の分断を図る工作員が紛れ込むことが何度もありました。実は「LIBERA TOKYO」でも、管理者(私)が認識しているだけでも最低1回はその被害に遭っており、問題となったユーザのアカウントを停止しております。

 故に、「LIBERA TOKYO」においては、サーバ運営に多大な貢献をいただいているかなりの常連さんに対してでさえも、副管理者やモデレータといった権限を付与することが出来ておりません。昨年末からのアンケートの結果、副管理者ないしモデレータを設置すべきという方向にはなったものの、どのような条件でどなたに対しどの程度のことをお願いすべきかについては、まだ完全に白紙の状態です。

 残念ながら、「Mastodon Server Covenant」の3番目の条件については、事実上の日本語圏締め出しに等しいと言わざるを得ません。「LIBERA TOKYO」はもろに政治、思想信条を前面に出しているのですが、そうでないところでも、露骨な運営妨害は少ないかも知れませんがあからさまにアンチが湧いているようなところもあったりしますので、「1番目の条件を満たしており、利用規約にもそれが明示されている場合は、3番目を不問にする」等の措置がない限りは、日本語圏のサーバがこれ以上「joinmastodon.org」に掲載されることはまずないでしょう。

 その点でも、日本語圏専用の独自の入口はなくてはならないのです。

もし日本語圏専用「joinmastodon」を設置する場合、サーバ掲載条件をどうするか?

 もし日本語圏専用「joinmastodon」を設置する場合に、サーバの掲載条件をどうするか。

 先述の理由により、本家「Mastodon Server Covenant」の3番目の除外は必須です。この条件を外さないと、日本語圏では思想信条を扱うサーバのほとんどが掲載不可になります。ユーザ登録において招待制や管理者承認制をとったところで、悪意ある者の登録を完全に防ぐことは困難です。

 代わりに、1番目の条件を厳しくし、当該条件の利用規約への掲載義務と違反者へのペナルティの明示を条件に加えるべきでしょう。

 2番目のデイリーバックアップはそのまま残すとして、4番目についても、せいぜいサーバ停止1ヶ月前の予告でよいのではと思います。そんな3ヶ月も先の予定なんて簡単に立てられませんし。

 あとは、Mastodon利用者の分散を図ることでコミュニティ全体の活性化を促したいところですので、あと何名受け入れ可能であるかの目安となるような情報があれば尚よいでしょう。

 それと、分散型SNSは何もMastodonに限りません。ActivityPubによる互換性のあるプラットフォームだけでも、「Pleroma」や「Misskey」等があります。また、Mastodonのホスティング・サービスもあります。それらの扱いをどうするのかについても、検討する必要があります。

では誰が立ち上げるの?

 ここまで日本版「joinmastodon」の必要性について触れてきましたが、もし実際にサイトを立ち上げるという話が出てきたとしても、恐らく私が運営に参画することはないでしょう。少なくとも中心人物になることはあり得ません。

 こんなことを言ってしまっては身も蓋もないのですが、私は既に、八方美人的にすべてのMastodonユーザ、すべてのMastodonサーバ管理者と仲良くすることをあきらめています。自サーバ2カ所からドメインブロック、つまりサーバ単位でお付き合いをお断りしているところも少なくありませんし。Mastodon日本語圏でかなりの有名人になっている人物を含め、決して少ないとは言えない人数のユーザを自分のアカウントからブロックしています。

 もし、日本版「joinmastodon」を立ち上げるのであれば、何らかのサーバを実際に運営している人の参画は不可欠です。そして、日本版「joinmastodon」を運営する以上、ご自身のサーバが、サーバ掲載条件をすべて満たしている必要があります。また、多数のサーバ、多数のユーザを扱うという観点からも、公平、中立が求められます。この時点で多数のサーバをドメインブロックしている私は残念ながら不適格です。

 これ一つ考えても、真の意味での分散化への道はまだまだ険しいです。とはいえ、現状の大規模サーバへの集中という現状がよいとは思っていませんし局所的にはむしろそれを打破すべきですらありますので、もし真の分散化へのアイディアが浮かびましたら、何らかの形で表現できればと思います。

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